脳梗塞・脳出血の対応について解説します
- 対応の手順を知りたい方
- 観察ポイントを知りたい方
現在、回復期病棟で勤務する現役看護師です
回復期リハビリテーション看護を専門にお伝えしています
回復期病棟で扱う疾患の多くが脳梗塞と脳出血ですが、これらは再発を起こすリスクが高い疾患です
そのため回復期病棟では、脳梗塞・脳出血の再発のリスクが常にあります
回復期リハNsにとって、急変対応(脳梗塞・脳出血の対応)を知っておくことはとても重要です
今回は新人看護師の方に向けて
「脳梗塞・脳出血の再発時の対応」というテーマでお伝えします
「その他の急変対応」について知りたい方は以下の記事も見てみてください
①けいれん時の対応
【回復期リハ看護 急変対応】けいれん時の対応について現役看護師が解説
②転倒転落時の対処方法
【回復期リハビリテーション看護】転倒転落時の対応について現役看護師が解説
③心停止の学習方法(BLS/ACLS/ICLS)の紹介
記事の内容
脳梗塞・脳出血の対応
- 人・物を集める
- ABCDの観察
- ドクターコール
- 検査
- ABCDの継続観察と医師への確認ポイント
記事の信頼度
20年目の現役看護師で、回復期・急性期・慢性期で勤務経験があります
以下の診療科の経験を踏まえてお伝えします
読者の方へのメッセージ
看護には「ちょっとしたコツ」があります
今回は看護の中でも「脳梗塞・脳出血の対応」についてお伝えしようと思います
「コツ」を知り、少しずつ学んで、経験することで必ず成長します
きっと素敵な看護師になると思うので頑張ってください
この記事の目標
「脳梗塞・脳出血の対応のコツがわかる」です
それでは詳しく見ていきましょう
脳梗塞・脳出血の対応
対応手順
人・物を集める
まずは人と物を集めましょう
- 緊急コールを押して「〇号室で急変です」と大きな声で人を集めてください
- 救急カート、バイタルセット、ベッドサイドモニターを依頼しましょう
再発の症状は「新規の麻痺の出現・意識障害・けいれん」といったわかり易いものだけではなく、「なんとなくいつもと違う」といった場合もあるので日頃の観察が大切です
ABCDの観察
ABCDを観察しましょう(急変時の基本です)
ABCDの観察
- A(気道)
- B(呼吸)
- C(循環)
- D(神経学的所見)
A(気道)の観察
脳梗塞・脳出血発症時に気道の問題となるのが嘔吐です
「嘔吐した場合は側臥位にする」ことで吐物による窒息や誤嚥を予防しましょう
吸引の準備も依頼し、できるだけ口径が大きいカテーテル(14-18Fr)で吸引しましょう
B(呼吸)の観察
脳梗塞・脳出血時には基本的に酸素を投与します
またけいれんを併発したり、呼吸抑制を起こす場合があるので注意が必要です
- 救急カートがきたら「酸素」と「バックバルブマスク」の準備をしましょう
- ベッドサイドモニターが届いたらSpO2モニターも必ずつけましょう
SpO2モニターだけでなく「胸郭の上がり」「呼吸回数」
「チアノーゼの有無」も観察しましょう
C(循環)の観察
血圧は、麻痺側と逆側にマンシェットを巻きましょう
心電図モニターも忘れずに装着しましょう
D(神経学的所見)
瞳孔(対光反射)・意識レベル(JCS・GCS)・麻痺(MMT)を確認しましょう
瞳孔の観察は対光反射だけでなく、偏位の有無も診断の手掛かりになるので観察しましょう
神経学的所見の観察に自信がない方は「フィジカルアセスメントのおすすめの参考書」を紹介しているので見てみてください
【回復期リハ看護】バイタルサイン・フィジカルアセスメントについて現役看護師が解説
ドクターコール
医師への報告はシンプルで大丈夫です
明らかな症状が出ているの場合
「脳梗塞後の患者さんが新規の麻痺と意識障害をおこしています。急変ですので診察をお願いします。」
何となくいつもと違う場合
「脳梗塞後の患者さんが動きが緩慢で、受け答えもいつもよりぼんやりしています。バイタルサインは〇〇で変化はないです。JCS3、MMTも明らかな変化はないですが、いつもとは違うので、診察をお願いします。」
看護師の「いつもと違う」といった感覚は当たっていることが多いので、日ごろから注意深く観察しましょう
検査
医師が来棟したら以下の指示がでるので準備をしておきましょう
- 頭部CTまたは頭部MRI
- 採血(ルート確保)
- 12誘導心電図
発症直後の脳梗塞はCTではわかりにくいため、MRI(DWI:拡散強調画像)を撮影します
- 医師によっては最初から頭部MRI(DWI)の指示が出ることもあります
- 最初に頭部CTで出血の有無を確認してから、MRI(DWI)を撮ることもあります
状態が悪化する可能性があるため、ABCDを継続して確認することが大切です
ABCDの継続観察と医師への確認ポイント
検査が終了し、診断が出てからも継続して観察が必要です
ABCDを注意深く観察しましょう
医師への確認ポイント
- 新たな治療や安静度などの指示の変更
- 転棟または転院の必要性
- 患者家族へのIC
- 酸素や点滴を開始していれば継続指示の確認
回復期病棟では急性期治療はできないので、転棟または転院となるケースがほとんどです
まとめ
今回は新人看護師の方向けに「脳梗塞・脳出血の対応」についてお伝えしました
他にも「回復期病棟の新人看護師の皆さんの役に立つ」記事を紹介しているので興味のある方は見てみてください
疾患の看護に関する記事
①脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血
看護業務に関する記事
①メンバー業務
【回復期リハ看護】メンバー業務(情報収集・アセスメント・報告)のコツを解説
②リーダー業務
【回復期リハ看護 新人から3年目看護師必見!】リーダー業務を現役看護師が解説
③看護計画立案
【回復期リハ看護 新人看護師必見!】看護計画を現役看護師がアドバイス
④安全にADLを拡大する方法
【回復期リハ看護 新人看護師必見!】安全にADLを拡大する方法を現役看護師が解説
⑤FIM評価法
【回復期リハビリテーション看護】FIMについて現役看護師が解説
⑥排便コントロール
【回復期リハ 新人看護師必見】排便コントロールと便秘薬を現役看護師が解説
⑦冷湿布・温湿布・テープ式の使い方
⑧カロナールとロキソニンの使用方法
⑨夜勤の睡眠対策
参考書・看護グッズに関する記事
新人看護師の方は初めてのことばかりで不安なこともあると思いますが、必ずできるようになるので少しずつ覚えて実施してみてください
皆さんの大切な体と心が健康で、楽しく働けますよう応援しています
最後まで読んで頂きありがとうございました
おとうさんナース
看護師の方に向けて誠意を持って書いていますが、個人的な体験と意見が含まれていることをご承知ください。個々のケースは主治医または各施設のマニュアルの確認をお願いします。
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