【回復期看護】脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血の看護のポイントを現役看護師が解説

回復期看護
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おとうさんナース

「脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血の看護」について解説します

  • 勉強のポイントを知りたい方
  • 看護の実際を知りたい方

現在、回復期病棟で勤務する現役看護師です

回復期リハビリテーション看護を専門にお伝えしています

回復期では主に脳血管障害整形外科疾患の2つを取り扱います

脳血管障害は以下の3つに分かれます

  • 脳梗塞
  • 脳出血
  • クモ膜下出血

いずれも新人看護師の方にとっては初めて出会う疾患でもあり、戸惑うことが多いと思います

今回は「新人看護師の方」に向けて以下の内容をお伝えします

①脳血管障害(脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血)の看護に必要な学習

②脳血管障害の看護のポイント

記事の内容

1.脳血管障害の学習ポイント

  • 解剖生理と病態生理
  • フィジカルアセスメント
  • 高次脳機能障害

2.脳梗塞の看護のポイント

3.脳出血の看護のポイント

4.クモ膜下出血の看護のポイント

5.脳血管障害に共通した看護

  • ADLアップ
  • 患者・家族指導
  • 退院準備

記事の信頼度

20年目の現役看護師で、回復期・急性期・慢性期で勤務経験があります

以下の診療科の経験を踏まえてお伝えします

経験している診療科

回復期、救命救急センター、脳外科、循環器内科、心臓血管外科、消化器内科・外科、内分泌代謝内科、心療内科、血液内科

読者の方へのメッセージ

看護には「ちょっとしたコツ」があります

今回は「回復期病棟における脳血管障害の看護のコツ」についてお伝えしようと思います

コツ」を知り、少しずつ学んで、経験することで必ず成長します

きっと素敵な看護師になると思うので頑張ってください

この記事の目標

「脳血管障害の看護コツがわかる」です

それでは詳しく見ていきましょう

脳血管障害の学習ポイント

脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血の看護を理解するためには以下の3つが必用です

  1. 解剖生理・病態生理
  2. フィジカルアセスメント
  3. 高次脳機能障害

まずは解剖生理と病態生理について見ていきましょう

解剖生理と病態生理

疾患を理解する基本は解剖生理病態生理です

脳梗塞脳出血・クモ膜下出血など脳血管疾患を理解するためには脳の解剖生理と病態生理の学習はどうしても必要です

解剖生理で押さえる内容

  • 脳の各領域と役割
  • 脳動脈系と灌流領域
  • 脳脊髄液
  • 静脈系
  • 脳神経12対
  • 自律神経系
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覚えるコツは絵で描けるようになることです

絵で覚えると忘れにくく、CTやMRI画像もわかるようになります

脳の解剖生理と病態生理のおすすめの参考書は「病気がみえる 脳・神経」です

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私も脳外科や回復期では「病気がみえる 脳・神経」を使ってきました。看護で必要な知識を得るには十分な内容であり、解剖生理と病態生理の学習には鉄板の参考書だと思います。

次にフィジカルアセスメントについてもみていきましょう

フィジカルアセスメント

脳血管障害の患者さんの看護にはJCS・MMT・瞳孔など神経学的所見のフィジカルアセスメントの知識や技術が必要です

また排便コントロールも行う必要もあることから腹部のフィジカルアセスメントや嚥下障害の患者さんが多いため、呼吸のフィジカルアセスメントも学習していきましょう

フィジカルアセスメントで押さえる内容

  • JCSやGCS
  • MMTやBr’sstage
  • 瞳孔の観察
  • 呼吸
  • 腹部
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フィジカルアセスメントを身に付けるコツは実践することです

実践したらアセスメントを記録することで知識・技術が身に付きます

フィジカルアセスメントのおすすめの参考書は「看護がみえるvol.3フィジカルアセスメント」です

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「看護がみえるvol.3フィジカルアセスメント」は動画や音声が豊富で学習しやすく、実践に活かせ本当に良書と言えます

最後に高次脳機能障害についても見ていきましょう

高次脳機能障害

脳血管障害の患者さんを理解するために高次脳機能障害を学習することはとても重要です

高次脳機能障害で押さえる内容

  • 失語
  • 前頭葉症状
  • 失認
  • 失行
  • 記憶障害
  • 注意障害
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高次脳機能障害を学ぶと脳血管障害の患者さんの行動を予測できるようになるので、安全を守れるようにもなります

高次脳機能障害の学習におすすめの参考書を紹介します

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高次脳機能障害の参考書は学問的過ぎたり、わかりにくい本が多いですが、「この本はとてもわかりやすく」「実践に活かせる」おすすめの1冊です

ここまでは脳血管障害の学習ポイントをお伝えしてきました

次に脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血それぞれの看護のポイントについてもみていきましょう

脳梗塞患者の看護のポイント

脳梗塞病型を知ることが大切です

なぜなら病型によって治療法が異なるからです

病型は以下の3つに分かれますので、担当する患者さんがどの病型かを把握しましょう

  • アテローム血栓性脳梗塞
  • 心原性脳梗塞
  • ラクナ梗塞

病型が把握できたら、次は危険因子の把握です

アテローム血栓性脳梗塞とラクナ梗塞の原因となるのは動脈硬化です

担当する患者さんが動脈硬化のどんな危険因子をもっているか把握しましょう

  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 糖尿病
  • 肥満
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動脈硬化が原因のアテローム血栓性脳梗塞とラクナ梗塞はバイアスピリンなどの抗血小板薬を内服しているので、内服薬を確認することも重要です

心原性脳梗塞は他の2つと違い、原因のほとんどが心房細動です(弁膜症などもあります)

担当する患者さんが心房細動を持っているか確認しましょう

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心房細動が原因の心原性脳梗塞はエリキュースなどの抗凝固薬を内服しているので、内服薬も確認してみましょう

脳出血患者の看護のポイント

脳出血血圧をコントロールが最も大切です

回復期の血圧は・・・

Bp140/90mmHg未満でコントロールします

動脈硬化の危険因子についても把握しましょう

  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 糖尿病
  • 肥満
  • 喫煙
  • 飲酒
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脳出血の患者さんはアムロジピン(Ca拮抗薬)など降圧薬を内服していることが多く、その他危険因子に対してどのような内服をしているか確認しましょう

クモ膜下出血の看護のポイント

せん妄対策

クモ膜下出血の患者さんの特徴として以下の2つが挙げられます

1.高次脳機能障害は前頭葉症状が中心で目が離せないことが多い

2.麻痺は軽度またはないことが多い

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クモ膜下出血の患者さんは前頭葉症状が強く、麻痺もないことが多いので危険行動離院・離棟に注意が必要です

脳梗塞や脳出血も高次脳機能障害が出現しますが、クモ膜下出血は特に前頭葉症状が前面に出てきます

クモ膜下出血患者さんの看護は前頭葉症状を理解することが重要です

前頭葉症状

  • 注意障害
  • 記憶障害
  • 病態失認
  • 発動性の低下または亢進
  • 人格変化・社会的行動の変化
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危険行動やせん妄対策も必要ですが、発動性の低下に対するかかわりも重要です。ADL支援や規則正しい生活を送れるようにかかわりましょう。

ここまで脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血それぞれの看護のポイントをみてきました

ここからは3つに共通した看護についてお伝えします

患者指導

脳梗塞・脳出血再発リスクが高い疾患です

そのため危険因子となる生活習慣病に対する患者指導はとても重要です

またクモ膜下出血も生活習慣病を伴っていることが多いため、同様に患者指導を行う必要があります

患者指導は以下の3つを行います

  • 栄養指導
  • 服薬指導
  • 健康管理指導

栄養指導

脳血管障害は生活習慣病を伴うことが多く、食事はカロリー制限や塩分制限(6g未満)が必要となります

実際の栄養指導は管理栄養士が行うことが多いと思いますが、看護師からも理解の確認も行っていきましょう

また食習慣・食事の好み・食事は誰が作るのか(宅配サービスなどを利用するか)などを事前に把握しておくことが重要です

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指導は実際に食事を作る人を含めて行いましょう

服薬指導

服薬指導は薬剤師が行うことが多いですが、栄養指導と同様に実施後の理解の確認は重要です

指導実施後は、内服自己管理に向けてた支援を行っていきましょう

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内服自己管理については院内の規定を踏まえながら実施しましょう

病院によっては服薬指導を看護師が行う所もあるため、薬理学の学習をしておくことをおすすめします

薬理学おすすめの参考書は「薬がみえる」です

回復期病棟では中枢神経系と体性神経・筋の疾患に加えて、既往に高血圧、糖尿病の患者さんが多いので循環器と糖脂質代謝を含むvol1とvol.2をおすすめします

薬の勉強方法について詳しく知りたい方は以下の記事も見てみてください

【回復期リハ看護 薬の勉強】おすすめ参考書を現役看護師が解説 

健康管理指導

脳血管障害の健康管理指導では以下の2つは押さえておきましょう

  • 血圧管理
  • 排便コントロール

脳血管障害の患者さんは便秘になることが多いため、緩下剤や水分摂取などを含めて指導を行っていきましょう

糖尿病がある患者さんに対しては食事療法・運動療法・薬物療法など総合的な指導が必要となるので、病棟の先輩に相談するのが良いと思います

また難しい事例は院内の糖尿病療養指導士・糖尿病認定看護師に相談するのが効果的です

ADLアップの支援

脳血管障害の患者さんのADLアップの手順は以下になります

  1. 情報収集
  2. 課題の把握
  3. PTとOTとの多職種連携
  4. カンファレンス実施
  5. 看護計画立案
  6. 計画を患者と共有

それぞれのポイント見ていきましょう

情報収集

まずは実際のADLを把握しましょう

ポイントは動作のどこができて、どこができていないかを具体的に把握することです

例)車いす移乗

起き上がり〇、端坐位〇、靴履き×、立位〇、方向転換×、着座時の患肢管理×

課題の把握

運動機能(麻痺)認知機能(高次脳機能障害)を把握しましょう

安全にADLが自立するためには「運動機能の何が課題か」、「認知機能の何が課題か」を一つ一つはっきりさせましょう

PTやOTとの多職種連携

PTやOTの評価を確認することもとても有効です

それぞれの専門的な立場からアドバイスや意見を聞くことができたり、訓練でも共同することで効果的なADLの拡大につなげられます

カンファレンスにかける

回復期病棟ではチーム全体で安全にADLを拡大していきます

そのためナースカンファレンスはとても重要な役割を果たします

看護計画を立案する

看護計画は具体的に立てるようにしましょう

誰が行ってもわかるように記載することが大切です

計画を患者と共有

患者さんに説明した後に、「患者さんがどう理解したか」患者さんの言葉で確認しましょう

また実際の行動を確認することもとても重要です

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計画や目標を患者さんや家族と共有していきましょう

さらに詳しくADLを安全に拡大する方法が知りたい方は以下も見てみてください

【回復期リハ看護 新人看護師必見!】安全にADLを拡大する方法を現役看護師が解説

退院準備

いよいよ退院準備ですが、回復期では入院時から計画的に退院の準備を行っていきます

以下のポイントを踏まえて計画的に実施していきましょう

  • 患者・家族の退院の希望や目標の把握
  • 自宅の状況や介護力の把握
  • 患者・家族指導
  • 退院前訪問や家屋調査
  • 看護サマリー作成

退院準備に関しては以下の記事も参考になると思うので見てみてください

まとめ

今回は「脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血の回復期リハ看護」についてお伝えしてきました

他にも「回復期病棟の新人看護師の皆さんの役に立つ」記事を紹介しているので興味のある方は見てみてください

急変対応に関する記事

看護業務に関する記事

参考書・看護グッズに関する記事

新人看護師の方は初めてのことばかりで不安なこともあると思いますが、必ずできるようになるので少しずつ覚えて実施してみてください

皆さんの大切な体と心が健康で、楽しく働けますよう応援しています

最後まで読んで頂きありがとうございました

おとうさんナース

看護師の方に向けて誠意を持って書いていますが、個人的な体験と意見が含まれていることをご承知ください。個々のケースは主治医または各施設のマニュアルの確認をお願いします。

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