【看護師 体験談】プラモデルを作り続けた男の子 

急性期への転職

現在、回復期病棟で勤務する現役看護師です

これまで様々な病院の診療科で働いてきました

その中でも印象に残った場面を「看護師の体験談」としてお伝えしています

今回は脳外科病棟での体験談です

体験談 プラモデルを作り続けた男の子

A君は10代から入退院を繰り返していました

私が初めて会ったのは、A君が高校生でした

A君は小柄で、おとなしく、プラモデルが好きな男の子でした

彼が一番うれしそうにするのは

仕事帰りのお父さんと一緒にプラモデルを作っている時でした

A君はとても我慢強い性格でした

1か月以上に渡って毎日行われる辛い治療を

泣き言一つ言わず、黙って受けていました

治療から帰ってくると、いつもベッドに座ってプラモデルを作っていました

治療の行き帰り、少しでも気が紛れればとA君にプラモデルの話をしました

私はプラモデルに興味を持ったことがないため浅い話しかできず、いつもすぐに話が終わっていました

そんな大して興味をひかない私の話に、はにかんだ笑顔をみせてくれる優しい男の子でした

夕方になりお父さんが来ると、二人はいつものように楽しそうにベッドで話をしていました

プラモデルを作る時は二人とも無言でしたが

大切な時間ということが、端からもよくわかりました

そんな入退院を数年間繰り返して、A君の最後の入院となったエピソードです

入退院を繰り返す中で、徐々にA君の身体機能と意識レベルは低下していきました

その入院の彼は明らかに今までとは違い

車いすに乗るのがやっとで言葉もほとんど発しませんでした

辛い治療が始まりましたが、A君は変わらず我慢強く受けていました

ある日重大な合併症が併発し、激しい痛みで起き上がれなくなりなりました

A君に少しでも触れようなら大声で「痛いよ!痛いよ!」と叫びました

激痛のため食事は寝ながら全介助で摂り

ストレッチャーで移動し

体位変換も行いました

A君はそのような中でも寝ながらプラモデルを作っていました

そしてお父さんが来ると、いつものように、二人とも無言でプラモデルを作っていました

痛み止めは極量まで使い、お父さんが来る時間に合わせて効果が持続するようにしていました

同じ体位を取りたがり、褥瘡が出現しました

次第に食事もとることができなくなりました

ついにプラモデルを作らなくなる日がやってきました

お父さんは毎日のように、新しいプラモデルを持ってきました

私たちも体位を工夫したり、痛み止めも医師やリソースナースに相談しました

しかしA君がプラモデルを作ることはありませんでした

ついに目を開けることもなくなりました

お父さんは、ベッドサイドに座り、何も話さなくなった息子の手をずっと握っていました

以上が脳外科の新人時代に体験したエピソードです

あとがき

今回お伝えした体験談は

患者さんの痛みに寄り添う」と心に強く刻んだエピソードです

今回紹介する体験談は個人が特定できないよう一部脚色していますのでご了承ください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

おとうさんナース

脳外科看護のコツ

瞳孔の観察編

  • 患者さんにまっすぐ前を見てもらい
  • 目の外から光を入れましょう
<span class="fz-12px">お父さんナース</span>
お父さんナース

光を中から入れると先に光が目に入ったり、間接対光反射が起きたりします

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