現在、回復期病棟で勤務する現役看護師です
これまで様々な病院の診療科で働いてきました
その中でも印象に残った場面を「看護師の体験談」としてお伝えしています
今回は脳外科病棟での体験談です
体験談 退院した患者さんからの贈り物
Aさんは70代の男性で脳外科で入院してきました
私は新人で、プライマリーNsとなりました
安静度はベッド上でBa留置していました
筋力は低下し、認知面も低下していました
病状は落ち着いて安静度も拡大となり、Baを抜去することになりました
Ba抜去後も失禁が続いていました
尿意を尋ねると「わかる」とのことだったので、ナースコールを説明しましたが、失禁は続きました
Aさんは単身生活であり、プライマリーNsだった私は排泄の自立を目指して関わることにしました
尿意もあり、車いすにも乗れることからトイレで排泄することを提案しました
Aさんは説明したところ、キョトンとしてこちらを見ていましたが了承してくれました
その当時、失禁しているならオムツを取り替えさえすれば良いといった人もいたので、Aさんも失禁して取り替えてもらうのが当たり前と思っていたようです
先輩の中にはトイレに連れていくのが面倒くさいと言う人もいましたが、看護計画にあげていきました
直前に排泄ケアの勉強会に出席したので、Aさんに活かしてみようと思ったからです
- ベッド上の起き上がり
- 靴の着脱
- 車いすへの移乗
- 車いすの移動方法
- トイレでの立ち上がり
- 便座への方向転換
- ズボンの上げ下げ
- ペーパーのふき取り
車いすへの移乗・移動・トイレ動作を一つずつ分解して実施プランを立案しました
看護計画はそれまで先輩の真似をしたり、指導を受けたとおりに立てていました
Aさんの看護計画は初めて自分自身で工夫して立てました
トイレに行くようになると、Aさんは失禁しなくなりました
車いすから歩行器歩行、フリーハンド歩行とADLもどんどん拡大しました
最終的には全快し、歩いて自宅退院となりました
排泄ケアの研修で学んだ
「排泄は人の尊厳に大きく関係する」を肌で実感したエピソードでした
これには後日談もあります
Aさんが退院してしばらくした頃
私がナースステーションに呼ばれて行くと見知らぬ男性が立っていました
Aさんでしたが見違えるほど元気そうで生き生きして見えました
Aさんは両手にケーキの袋を持っていました
「〇〇さん(私)には本当にお世話になりました」
「あの時トイレに連れて行ってくれてありがとう」
「〇〇さんに担当してもらえなかったらあきらめてました」
と言っていただきました
以上が脳外科の新人時代に体験したエピソードです
あとがき
今回お伝えした体験談は
「患者さんのために考えて行動する」と看護観に強く刻まれた出来事でした。
今回紹介する体験談は個人が特定できないよう一部脚色していますのでご了承ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
おとうさんナース
同じ場面で何度も説明することで、手続き記憶としてナースコールを覚えてもらう方法もあります
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