【看護師 体験談】自分の子供を忘れてしまったお母さん

回復期看護

現在、回復期病棟で勤務する現役看護師です

回復期リハビリテーション看護を専門にお伝えしています

これまで様々な病院の診療科で働いてきました

その中でも印象に残った場面を「看護師の体験談」としてお伝えしています

今回は回復期病棟での体験談です

体験談 自分の子供を思い出せない患者さん

クモ膜下出血の後遺症の一つに前頭葉症状があります

急性期だけでなく回復期や慢性期になっても強く症状

が残ることが多いやっかいな症状です

前頭葉症状という名前の通り

  • 見当識障害
  • 記憶障害
  • 人格変化
  • 遂行障害

など前頭葉に関係する様々な症状が出現します

Aさんは30代女性でクモ膜下出血を発症しました

スパズムや正常圧水頭症もありませんでした

麻痺はなく自由に歩けて、会話もできましたが、前頭葉症状が強く残りました

Aさんには3歳の子供が一人いました

毎日のように夫とお見舞いに来て、病棟で走り回っている元気な男の子でした

目がクリクリとして、よく笑い、人懐こい男の子でした

私もお話をしたり、かくれんぼをしました

帰る時には、男の子が泣きながらお父さんに抱かれて帰っていく姿をよく見かけました

Aさんはそんな2人の姿を、少し離れた場所で見ていました

男の子はいつも元気そうに振舞ってはいるけど、すごく我慢しているんだろうなと切なく感じていました

ある時Aさんに子供のことを聞くと

「子供のこともわからないんです」と一言ポツリと言いました

その時初めてAさんのいつもの様子の意味がわかりました

子供と手をつなぐ姿は見ますが、楽しそうに話したり、抱きしめたりといった3歳のお母さんらしい姿を見たことがありませんでした

子供の記憶がないAさんは、毎日のようにやってくる男の子がきっと自分の子供なんだろうと思って接しているけど、実感は感じられない

ひょっとしたら夫のことも…

Aさんの心情を考えるとそれ以上は聞くことができませんでした

その後Aさんは自宅に退院していきました

あとがき

今回お伝えした体験談は

クモ膜下出血は母親から子供の記憶をも奪ってしまう」と衝撃的な出来事でした

今回紹介する体験談は個人が特定できないよう一部脚色していますのでご了承ください

最後まで読んでいただきありがとうございました

おとうさんナース

回復期看護のコツ

麻痺のある患者の環境調整

  • 健側にナースコール、床頭台を設置しましょう
  • 健側から乗り降りするようにしましょう
<span class="fz-12px">お父さんナース</span>
お父さんナース

麻痺側は半側無視があったり、刺激が入りにくいことが多いです

コメント

タイトルとURLをコピーしました