現在、回復期病棟で勤務する現役看護師です
これまで様々な病院の診療科で働いてきました
その中でも印象に残った場面を「看護師の体験談」としてお伝えしています
今回は脳外科病棟での体験談です
体験談 クモ膜下出血の患者さん
今回はクモ膜下出血の患者さんを紹介します
エピソード1つ目は
「脳室ドレーンを自己抜去した患者さん」です
クモ膜下出血の患者さんの看護は緊張します
術前やスパズム期はICU・SCUで管理しますが、場合によっては一般病棟で管理することもあります
- 術前は再出血のリスク
- スパズムの出現
- 脳室ドレーンの管理
- 不穏のため抑制
- 呼吸・血圧・意識レベルなど全身管理
など本当に気が抜けません
Aさんは50代女性でクモ膜下出血のクリッピング術後でした
スパズム期で脳室ドレーンの管理をしていました
当時新人だったので、まだ最重症の患者さんを受け持つことはありませんでした
先輩看護師の悲鳴が聞こえ駆けつけると…
脳室ドレーンが回路から垂れ下がっており
両上肢の抑制が外れていました
新人の私はどう対応して良いかわからず、ただ立ちすくんでいました
医師が駆け付け、すぐにICUへ入室となりました
結果的には回復して病棟に戻り、会話もでき、歩いて退院しました
この時以外に脳室ドレーンが自己抜去されたのを目撃したのは後にも先にもありません
脳槽に入っていた場合はクリッピングが外れる可能性もあり、今考えても凍り付くエピソードです
エピソード2つ目は
「個室で施錠管理が必要な暴れる患者さん」です
クモ膜下出血の後遺症の一つに前頭葉症状があります
高次脳機能障害の一つですが、激しい出血で前頭葉がダメージを受け
- 見当識障害
- 記憶障害
- 人格変化
- 遂行障害
など前頭葉に関係する様々な症状が出現します
Bさんは40代男性でクモ膜下出血のクリッピング術後でした
麻痺はなく自由に動けましたが、前頭葉症状が強く出ていました
センサーが反応して訪室すると、点滴ルートは引きちぎられ、抑制をすり抜けているBさんを何度も発見しました
脳外科あるあるだと思いますが、どんなに抑制をしっかりしても不思議とすり抜けていました
離棟離院のリスクがあるため、家族を交えて検討し、点滴と抑制は中止し、個室で施錠管理することになりました
脳外科は意識レベルを観察するので鎮静する訳にもいかず苦肉の策ですが、こまめに訪室して状況を観察していました
するとBさんの部屋から大きな音が鳴るようになりました
訪室すると涼しい顔をしたBさんがいましたが、壁やドアに蹴ったあとがありました
次第に大きな音が鳴る頻度が多くなっていきました
訪室すると大人しいのですが、汗だくのBさんが立っていました
Bさんは自分が置かれている状況が理解できず、必死でドアを蹴っていたのだと思います
奥さんに聞くとBさんは、真面目でとても穏やかな性格な方のようでした
クモ膜下出血の高次脳機能障害は、回復期や慢性期になっても改善が難しく、患者さんや家族にとっても本当に辛い症状です
Bさんはしばらくしてリハビリ病院へ転院していきました
以上が脳外科の新人時代に体験したエピソードです
あとがき
今回お伝えした体験談は
- 「クモ膜下出血患者さんの術後管理」
- 「高次脳機能障害の看護」
勉強するきっかけとなったエピソードです
今回紹介する体験談は個人が特定できないよう一部脚色していますのでご了承ください
最後まで読んでいただきありがとうございました
おとうさんナース
無理に進めると患者さんはさらに混乱してしまいます
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