排便コントロールについて解説します
- 便秘の患者さんの対処方法を知りたい方
- 便秘薬の種類や注意点を知りたい方
現在、回復期に勤務する現役の看護師です
回復期リハビリテーション看護を専門にお伝えしています
回復期病棟の脳血管障害の患者さんにとって排便コントロールは重要です
今回は「回復期病棟の排便コントロールと便秘薬」についてお伝えします
記事の内容
1.スタンダードな排便コントロール
2.排便ケア時の注意点
3.新しい便秘薬5選
4.排便に関する患者指導
記事の信頼性
20年目の現役看護師で、回復期・急性期・慢性期で勤務経験があります
以下の診療科の経験を踏まえてお伝えします
回復期、消化器内科・外科、脳外科、循環器内科、心臓血管外科、内分泌代謝内科、救命救急センター、心療内科、血液内科
読者の方へのメッセージ
私が勤務する病院でも便秘で悩んでいる方が大勢います
日々、患者さんへ排便ケアを行っているので、その経験を踏まえてお伝えしたいと思います
新人の方向けに、できるだけ専門的な用語は使わず、わかりやすくお伝えしたいと思います
それでは詳しく見ていきましょう
スタンダードな排便コントロール
結論からお伝えすると
酸化マグネシウム(便を柔らかくする薬)とピコスルファート(腸を動かす薬)の2種類を使います
服用の手順
手順1 まずは排便作用が緩やかな酸化マグネシウムを飲んで様子を見ましょう
手順2 酸化マグネシウムで排便が無ければピコスルファートを夕食後に5滴から始めてみましょう
手順3 それでも排便がなければピコスルファートを15滴まで増やしてみましょう
調節方法
- 便が固い時は酸化マグネシウムを増やし、緩すぎな場合は減らしましょう
- 便が出にくい、残便感がある場合は、ピコスルファート5-15滴で調整しましょう
腹部蠕動音を確認することをおすすめします
排便状況と合わせて調整していきましょう
※腸を動かす薬はピコスルファート以外にもラキソベロン(ピコスルファートと同じ)、センノシド、プルゼニド、アローゼンといったものもあります
上記の便秘薬で効果がない場合はレシカルボン座薬またはグリセリン浣腸の使用が効果的です
それぞれの使用時の注意点を注意点を一緒に見ていきましょう
排便ケア時の注意点
どちらにも共通した注意点は「排便までの流れを患者さんに説明し、イメージを共有する」ことです
患者さんにしっかり説明しないで失禁させてしまうと「もう二度と浣腸はしたくない」といった排便ケアの拒否につながるケースもあるので十分な説明を行うようにしてください
レシカルボン座薬の注意点
※酸化マグネシウムとピコスルファートを前日の夜に内服し、翌日の朝にレシカルボン座薬を使用すると効果的です
手順1 オリーブオイルなど潤滑剤があれば使用して肛門から挿入します
手順2 10分前後待って排便します
グリセリン浣腸の使用時の注意点
1.病院によっては40℃程度に温めるところもありますが、熱傷のリスクもあるので細心の注意を払ってください
2.グリセリン浣腸の先端5㎝にストッパーがあるか確認して、チューブ先端に潤滑油を付けます
3.必ず臥床して側臥位でグリセリン浣腸を肛門に挿入します。立位で行うと肛門を傷つけたり、最悪の場合は直腸穿孔を起こすことがあるので、絶対に立って行わないようにしてください
最近は新しい薬も出ているので紹介しておきます
新しい便秘薬5選
①アミティーザカプセル
腸管内の水分を増やして便を出しやすくする
②グーフィス
胆汁酸(排便作用がある)を増やして便を出しやすくする 食前内服
③モビコール
腸管内に水分を増やして便を出しやすくする 小児投与可
④ラグノス
腸管内の水分を増やして便を出やすくする
⑤リンゼス
腸管内の水分を増やして便を出やすくする 食前内服
排便に関する患者指導
回復期病棟では排便コントロールについて、退院前に患者指導を行います
適度な食事・運動・睡眠で健康的な生活が便秘解消には大切ですので、薬剤指導と合わせて伝えてみてください
今回は効果的な生活習慣の改善を3つ挙げますので参考にしてみてください
①食物繊維をとりましょう
食物繊維の摂取量が少ないと便が出にくくなります
食品例:こんにゃく、ひじき、切り干し大根、乾燥わかめ、パセリ、モロヘイヤ、ごぼう等
②水分を取りましょう
水分が少ないと便秘の原因になります
摂取例:1日に1500ml(水分制限がある方は医師の指示に従ってください)
③適度な運動をしましょう
適度な運動は腸の動きを活発にし、便を出しやすくします
運動例:体調に合わせてウォーキング20-30分程度
まとめ
今回は回復期病棟の排便ケアについてお伝えしました
他にも「回復期病棟の新人看護師の皆さんの役に立つ」記事を紹介しているので興味のある方は見てみてください
疾患別の看護に関する記事
①脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血
急変時の対応に関する記事
①けいれん時の対応
【回復期リハ看護 急変対応】けいれん時の対応について現役看護師が解説
②脳梗塞・脳出血の再発時の対応
【回復期リハ看護 急変対応】脳梗塞・脳出血の再発について現役看護師が解説
③転倒転落時の対処方法
【回復期リハビリテーション看護】転倒転落時の対応について現役看護師が解説
④心停止の学習方法(BLS/ACLS/ICLS)の紹介
看護業務に関する記事
①メンバー業務
【回復期リハ看護】メンバー業務(情報収集・アセスメント・報告)のコツを解説
②リーダー業務
【回復期リハ看護 新人から3年目看護師必見!】リーダー業務を現役看護師が解説
③安全にADLを拡大する方法
【回復期リハ看護 新人看護師必見!】安全にADLを拡大する方法を現役看護師が解説
④看護計画立案
【回復期リハ看護 新人看護師必見!】看護計画を現役看護師がアドバイス
⑤FIM評価法
【回復期リハビリテーション看護】FIMについて現役看護師が解説
⑥カロナールとロキソニンの使用方法
⑦冷湿布・温湿布・テープ式の使い方
⑧夜勤の睡眠対策
参考書・看護グッズに関する記事
新人看護師の方は初めてのことばかりで不安なこともあると思いますが、必ずできるようになるので少しずつ覚えて実施してみてください
皆さんの大切な体と心が健康で、楽しく働けるよう応援しています
最後まで読んで頂きありがとうございました
おとうさんナース
看護師の方に向けて誠意を持って書いていますが、あくまで一般的な対処方法をお伝えしています。個々のケースは主治医または薬剤師に確認をお願いします。
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