受け持ち患者の看護について解説します
- どのように看護を展開すればよいかわからない方
- 入院から退院まで一連の流れが知りたい方
現在、回復期で勤務する現役の看護師です
回復期リハビリテーション看護を専門にお伝えしています
今回は「回復期病棟に新しく配属された方」に向けて「受け持ち患者の看護」についてお伝えします
今回のテーマ
「入院から退院までの一連の流れ」と「看護のポイント」がわかる
記事の内容
1.回復期リハビリテーション病棟の特徴
2.入院から退院までの流れ
3.受け持ち患者の看護のポイント
記事の信頼性
20年目の現役看護師で回復期・急性期・慢性期の勤務経験があります
以下の経験を踏まえてお伝えします
回復期、脳外科、循環器内科、心臓血管外科、消化器内科・外科、内分泌代謝内科、救命救急センター、心療内科、血液内科
読者の方へのメッセージ
看護には「ちょっとしたコツ」があります
今回は看護の中でも「受け持ち患者の看護のコツ」についてお伝えしようと思います
「コツ」を知り、少しずつ学んで、経験することで必ず成長します
きっと素敵な看護師になると思うので頑張ってください
この記事の目標
「受け持ち患者の看護のコツがわかる」です
それでは詳しく見ていきましょう
回復期リハビリテーション病棟の特徴
回復期リハビリテーションの特徴は
- 毎日リハビリを行う
- 自宅退院を目指して医師・看護師・セラピスト・SWなど多職種がかかわる
- 脳血管障害の入院日数は150日以内(場合によっては最大180日)
- 整形外科疾患の入院日数は90日以内(疾患によっては60日)
「多職種」が「自宅退院」を目指して関わるのが回復期リハの大きな特徴です
それでは入院から退院までの患者さんの流れを見ていきましょう
入院から退院までの流れ
回復期リハの入院期間は決まっています
まずは自分が受け持つ患者さんの、一般的な入院期間を把握しましょう
今回は「脳血管障害患者の入院から退院までの流れ」で説明します
- 入院日数の上限は150日(疾患・状態によっては180日)です
- 上限日数はあくまで目安なので、患者さんによって退院日は変わります
- 整形外科疾患や廃用症候群の入院は60-90日以内の入院期間となります
脳血管障害の入院から退院まで
入院
発症から1か月前後なので体力・意思力とも低下している時期です
- 入院生活に慣れるように支援します
- リハビリに向かえるよう生活(栄養・休息・活動)を支援します
- 患者さん・家族の希望や目標を把握し、共有することが大切です
1か月目
身体機能が改善してきます
- リハビリ状況を確認しながらADLを上げていきます
- セラピストと情報共有し、共同してADLを上げていきます
- ADLが上がると共に転倒リスクも高まります
2か月目
引き続きセラピストと共同してADLを上げつつ、退院に向けた関りも始めます
- リハビリ状況に合わせて、病棟でも車いすから歩行拡大に向けて支援します
- 健康管理指導(栄養・服薬・血圧等)を徐々に行います
- 家族から自宅の状況や介護力を情報収集していきます
3か月目
身体機能は上限(プラトー)に達します
- 自宅退院に合わせて自己管理(内服・血圧管理)ができるように支援します
- 患者さんによっては不全感を感じやすく精神面のフォローが必要となります
4か月目
本格的に退院の準備をします
- 家族指導(介護・内服・健康管理)を実施します
- 必要な場合は家屋調査や退院前訪問を実施します
退院月
SWと情報共有しながらスムーズに退院できるように準備をします
- 患者さんと家族の不安を確認しましょう
- SWと情報共有しながら介護サービスを検討します
- 継続看護のために看護サマリーを作成します
「入院から退院までの流れ」がわかったところで、次に看護のポイントを紹介します
受け持ち患者の看護のポイント
回復期リハビリテーション看護のポイントは3つです
1.患者さん主体の看護
回復期リハビリテーション看護は「患者さん主体の看護」です
- 患者さんや家族が「どうしたいか」を把握して、看護計画につなげることが重要です
- 患者さんや家族とコミュニケーションを取り、信頼を得ることが重要です
2.多職種連携
回復期リハでは多職種連携がとても大切です
- 安全な歩行を支援するためには理学療法士(PT)と共に支援します
- ADLを上げていくためには作業療法士(OT)と共に支援します
- コミュニケーションや嚥下については言語療法士(ST)と共に支援します
- 栄養については管理栄養士と共に支援します
- 介護サービスの導入についてはSWと共に支援します
3.健康管理指導
再発予防のために患者と家族へ健康管理指導をします
- 服薬指導と内服自己管理(薬剤師と共に行います)
- 栄養指導(管理栄養士に依頼します)
- 血圧管理、糖尿病(看護師が行います)
別の記事で「看護計画の立て方」「退院支援の具体的な方法」を解説しているので合わせてみるとわかり易いと思います
まとめ
今回は「受け持ち患者の看護」についてお伝えしてきました
他にも「回復期病棟の新人看護師の皆さんの役に立つ」記事を紹介しているので興味のある方は見てみてください
疾患別の看護に関する記事
①脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血
急変時の対応に関する記事
①けいれん時の対応
【回復期リハ看護 急変対応】けいれん時の対応について現役看護師が解説
②脳梗塞・脳出血の再発時の対応
【回復期リハ看護 急変対応】脳梗塞・脳出血の再発について現役看護師が解説
③転倒転落時の対処方法
【回復期リハビリテーション看護】転倒転落時の対応について現役看護師が解説
④心停止の学習方法(BLS/ACLS/ICLS)の紹介
看護業務に関する記事
①メンバー業務
【回復期リハ看護】メンバー業務(情報収集・アセスメント・報告)のコツを解説
②リーダー業務
【回復期リハ看護 新人から3年目看護師必見!】リーダー業務を現役看護師が解説
③FIM評価法
【回復期リハビリテーション看護】FIMについて現役看護師が解説
④排便コントロール
【回復期リハ 新人看護師必見】排便コントロールと便秘薬を現役看護師が解説
⑤冷湿布・温湿布・テープ式の使い方
⑥カロナールとロキソニンの使用方法
⑦看護計画の立て方
【回復期看護 新人看護師必見!】看護計画の立て方を現役看護師がアドバイス
⑧ADLを拡大する方法
【回復期リハ看護 新人看護師必見!】安全にADLを拡大する方法を現役看護師が解説
⑨夜勤の睡眠対策
参考書・看護グッズに関する記事
初めてのことばかりで不安なこともあると思いますが、必ずできるようになるので少しずつ覚えて実施してみてください
皆さんの大切な体と心が健康で、楽しく働けるよう応援しています
最後まで読んで頂きありがとうございました
おとうさんナース
看護師の方に向けて誠意を持って書いていますが、個人的な体験と意見が含まれていることをご承知ください。個々のケースは各施設のマニュアルの確認をお願いします。
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