【看護師 体験談】寛容な患者さん

回復期看護

現在、回復期病棟で勤務する現役看護師です

回復期リハビリテーション看護を専門にお伝えしています

これまで様々な病院の診療科で働いてきました

その中でも印象に残った場面を「看護師の体験談」としてお伝えしています

今回は回復期病棟での体験談です

寛容な患者さん

今回は患者さんに失礼な言動してしまったエピソードです

Aさんは60代の男性患者さんで、一見こわもての雰囲気でしたが、気さくな笑顔を向けてくれる接しやすい方でした

Aさんには失語症と構音障害の症状がありました

そのため話す内容を理解することが困難でしたが、何とか伝えようとしてくれていたので、時間をかけて訴えを聞くようにしていました

Aさんには神経因性膀胱があり、夜間になると頻尿で20-30分おきに尿器で介助をしていました

その日は準夜勤の勤務でが忙しく、徐々に私自身もイライラしていたと思います

Aさんからはいつものように20-30分おきにナースコールがあり尿器で介助をしていました

何度か尿器で介助した時に、Aさんから再度ナースコールがありました

Aさんの病室へ訪室する時には、すでに私自身のイライラが高まっていました

ややつっけんどんな言い方で私が「おしっこですか?」と聞くと、Aさんは首を振りました

そして何かを訴え始めましたが失語症と構音障害のため、うまく聞き取ることができませんでした

いつもなら時間をかけて訴えを聞くのですが、その時の私はイライラが高まっており、ゆっくり聞く心の余裕がありませんでした

「トイレに行きたいですか?」「どこか痛いですか?」など一方的に質問してしまいました

Aさんは何とか伝えようと話してくれるのですが、ゆっくり関わり、Aさんのことを理解しようとしていない私には理解することができませんでした

ついに私は「今忙しいので後でいいですか」と冷たく言ってしまいました

何とか伝えようとしていたAさんはあきらめたように下を向いてしまいました

いったん病室を出た私は心の中で「忙しいのに何なんだよいったい」と思っていました

しかしすぐにAさんのあきらめたように下を向く表情が頭に浮かび始めました

自分がとんでもないことを言ってしまった、Aさんに失礼な態度をとってしまったと後悔し始めました

他の仕事をしていても、そのことばかり考えてしまい、Aさんのことが頭から離れなくなりました

30分後にAさんのところに行き、頭を下げて「先ほどは失礼なことを言って申し訳ありませんでした」と伝えました

するとAさんは驚いた様な表情を浮かべ、顔を横に振り全然そんなことはないといったジェスチャーを見せました

あんなに失礼なことをした私をすぐに許してくれたAさんに対して申し訳ない気持ちと、あらためて自分の言動が恥ずかしくなりました

その後にAさんの話をゆっくり聞いたところ、尿器で排泄する時にベッドのギャッジアップしてほしいといった希望でした

この体験から「できる限り患者さんにゆっくり関ろう」と心に誓いました

あとがき

今回は「ゆっくり患者さんと関わることの大切さ」というエピソードをお伝えしました

今回紹介する体験談は個人が特定できないよう一部脚色していますのでご了承ください

またすべてのケースについて述べたものではなく、あくまで個人的な意見ですのでご了承ください

最後まで読んでいただきありがとうございました

おとうさんナース

回復期リハ看護のコツ

失語症がある患者さんの対応

  • 失語症のタイプに応じたコミュニケーション手段を用いる(例)書字・聴理解などSTに相談する
  • せかさないように肯定的な態度
  • わからない時はわからないと伝える
  • わからなくてもわかりたいという気持ちを伝える
  • よき理解者・支援者でありたい気持ちを言動に込める

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